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歴史 『竜馬がゆく(四)』

歴史 No.22 『竜馬がゆく(四)』 司馬 遼太郎 著

 本巻で、竜馬はついに一隻の軍艦を手にする。勝の私塾として設立された神戸軍艦塾に幕府から一隻の軍艦が貸与されたのである。「志士たちで船体を操り、大いに交易をやり、時いたらば倒幕のために海軍にする」という竜馬の奇異な発想は着実に現実味を帯びつつあった。一方で、時勢は混乱を極め、長州は没落、武市の作り上げた土佐の勤王政権も容堂の手によって崩壊、勤王派勢力は後退を余儀なくされる。

 ここで、武市に注目したい。武市半平太、彼は生涯土佐藩という枠組みに固執した。土佐24万石を以って勤王化を成し遂げ、倒幕勢力たらしめようとしたのである。保守的な藩風を見限り脱藩した竜馬を余所に武市は土佐の勤王化に奔走し、結果、武市は土佐に勤王政権樹立に成功する。しかしながら、容堂によって政権は崩壊、そして容堂寵愛の後藤象二郎、乾退助によって殺されてしまう。武市半平太と坂本竜馬、両者の違いは時勢を読んでいたか否かによるものであろう。後に、後藤と乾は竜馬とともに倒幕側に付き、土佐藩も勤王化していったことが何よりの証拠である。竜馬を見ていると時勢に乗れる人物とは待つ勇気を持つ人物であるような気がしてならない。
by jokerish2 | 2005-11-25 16:00 | 本:歴史・ノンフィクション
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