歴史 『人斬り以蔵』

歴史 No.29 『人斬り以蔵』 司馬 遼太郎 著

 本書は人斬り以蔵をはじめ、司馬遼太郎の著書の中に登場する言わば脇役たちに焦点を当てた短編集である。どの作品もさすが司馬遼太郎、鋭く観察されたそれぞれの主人公たちは長編で主人公をつとめる坂本竜馬などに引けを取らないくらい独特の人生観や行動規範を持って描かれている。中でも本書のタイトルになっている人斬り以蔵こと岡田以蔵の生涯はとても興味深かった。武市半平太や坂本竜馬といった他者に対して異常なまでの影響力を持つ人間の前に自らの意思を持たない人間がいると、これほどまでに正反対の二つの行動ができるものなのだなと、かなりの驚きを感じた。確かにわたくし自身に当てはめて考えてみれば納得がいくかもしれない。わたくし自身の行動、それは今までに出会った多くの人の影響を受けている。高校生まではすぐそばにいる人物、大学生になってからは少し行動範囲が広がったものの、やはり近くにいる影響力を持った人物の言うことに影響を受け、それを行動規範として生きてきた。自らの考えを持っていないこと、それは自らの存在意義を見失わせる原因になりかねない。他人にうまく使われるだけの人生にもなりかねない。自ら考え、納得した上で受け入れる。当たり前のことかもしれないが、自分の意思や考えを持った上で行動することは必要なようである。
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by jokerish2 | 2006-04-09 18:22 | 本:歴史・ノンフィクション
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