歴史 『ユリウス・カエサル ルビコン以後(上)』 

歴史 No.33 『ユリウス・カエサル ルビコン以後(上)』 塩野 七生 著

 「わたしが自由にした人々が再びわたしに剣を向けることになるとしても、そのようなことには心をわずらわせたくない。何ものにもましてわたしが自分自身に課しているのは、自らの考えに忠実に生きることである。だから、他の人々も、そうあって当然と思っている。」

 ルビコンを越えたユリウス・カエサルは国賊扱いになり、スッラの再現を恐れた元老院議員たちはローマを離れギリシアへ向かう。そのギリシアでカエサルはポンペイウス軍と雌雄を決することになる。圧倒的不利な状況のカエサルだが持ち前の戦略眼で徐々にポンペイウス軍を追い詰めてゆく。その過程が従来のローマを彷彿とさせる。彼は降伏した人々に対して勝者の権利を行使せず、冒頭にあげた思想に基づき、彼らを解放するのである。後の政治をやりやすくするために取られた配慮ではあるにせよ、カエサルは未だに多くの問題を抱える人権にいち早く着目した人物ではなかろうか。物事の心理を巧みに突いた行動であるように思う。しかしながら、群を抜いたこの能力こそが後の運命を決めてしまう気がしてならない。やはり天才とは理解されないものなのだろう。
[PR]
by jokerish2 | 2006-08-09 22:25 | 本:歴史・ノンフィクション
<< 歴史 『ユリウス・カエサル ... 歴史 『ユリウス・カエサル ... >>