歴史 『パクス・ロマーナ(上)』

歴史 No.36 『パクス・ロマーナ(上)』 塩野 七生 著

 アントニウスを追いやりローマに平和が訪れた。オクタヴィアヌスはカエサルの意思を受け継ぎ帝政を目指すかのように見えた矢先、彼は共和制への復帰を宣言した。それに狂喜した元老院はオクタヴィアヌスにアウグストゥスの尊称を贈るなど彼に多くの名誉を与えた。しかし、これはアウグストゥスが帝政を成し遂げるための布石であったのだ。王政を連想させる上辺の職名は返上し、事実上帝政を成し遂げるために必要な力を徐々に手中に収めていく様は巧妙と言わざるを得ない。さすが、天才カエサルが見込んだだけのことはある。
 さて、ここで感じることは、使える時間が多いというのは政治を行うにあたって大きな武器になると言うことである。内政に着手し始めた年齢が50代であったカエサルと異なりアウグストゥスは40代であり、時間をかけて帝政へと導くことができた。それも帝政を目論んでいると気付かれないように。カエサルの不幸から得られる教訓として、急ぐあまりに強行になりすぎることは自らの首を絞めることになりうると言うことだろう。
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by jokerish2 | 2006-08-09 22:28 | 本:歴史・ノンフィクション
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