歴史 『悪名高き皇帝たち(二)』

歴史 No.40 『悪名高き皇帝たち(二)』 塩野 七生 著

 本巻は二代目皇帝ティベリウスの後を継いだカリグラの治世を描いている。彼は何にも抗されることなく、万人に歓迎されて即位した初めての皇帝だった。その人気を失うことを恐れたためか、彼の行う政治は言わば人気取りの政治であり、ティベリウスが築き上げた財源はいとも容易く消費された。人気取りには才を発揮したカリグラも愚政が仇となり無残な最期を迎えることになる。

 「普遍とは、それを押し付けるよりも特殊を許容してこそ実現できるものである。」

 人気取りに従事したカリグラの治世で印象に残ったことは、正直少ない。しかし、ユダヤの統治に関して上記の一節は参考になったので紹介する。この一節は、カリグラがユダヤ統治を上手く行ったために生まれた教訓ではなく、失敗したがために生まれた教訓である。これまでに登場したローマの指導者たちは皆、このバランス感覚が優れていたように感じる。しかし、カリグラは違った。そこが彼に愚政を行わせた原因であったのではないかと思う。ローマ人たちは今回の経験を活かして、統治能力を持ち合わせた指導者を見つけることができるのかが、この先ローマの存続の鍵を握っていくのだろう。
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by jokerish2 | 2006-08-09 22:33 | 本:歴史・ノンフィクション
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