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本  『羊をめぐる冒険(下)』

本 NO.10  『羊をめぐる冒険(下)』 村上 春樹 著

 上巻の終わりに巻き込まれた事件のために、僕は星形の斑紋を背中に持っているという一頭の羊をめぐる冒険を始めることになる。冒険が進むにつれて次々と明らかになってゆく事実、日常では有り得ない状況設定という村上春樹の世界観にわたくしは徐々に引き込まれてしまった。その辺はさすがである。しかしながら、正直なところ『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に比べるとやや物足りなかった気がする。『羊をめぐる冒険』は登場する人物や状況設定は確かに面白いのだが、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の様にいろいろと考えさせられる部分が少なかったように思う。もしかしたら、感じるべきところはあったのかもしれないが、少なくともわたくしはそれを感じる事ができなかったため物足りなく思ってしまった。こうなってくると、村上春樹の作品は前者と後者のどちらの方が多いのか気になってくる。さて、次は何を読むか、検証は続く。
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by jokerish2 | 2005-10-30 01:45 | 本:その他

本  『羊をめぐる冒険(上)』

本 NO.9  『羊をめぐる冒険(上)』 村上 春樹 著

 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読んでから、わたくしは村上春樹の作品の面白さを知り、立て続けに手元にあった本作品『羊をめぐる冒険』を読み始めた。予想していた通り『世界の終わりとワードボイルド・ワンダーランド』同様『羊をめぐる冒険』も展開が読み辛い内容から始まる。ちょうど行定勲監督の映画『ひまわり』に似た冒頭だった。そしてまた、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』でわたくしのお気に入りだった少々人生を投げやり気味に生きる僕(主人公)に似通ったまたしても僕(主人公)が登場する。彼(僕)は自らの身に起こることを非常に合理的に解釈し、ほとんど無抵抗に受け入れるのだが、見ていてとても気持ちが良い。わたくしもあのような思考回路を持つことができたらどれだけゆるりとした生活を送れるだろうかとついつい想像してしまう。

 さて内容はというと、上巻ではほぼ8割が既述の僕が繰り広げる村上春樹の描く世界で埋め尽くされている。しかし終盤、僕は可笑しな事件に巻き込まれる事になる。そこから羊をめぐる冒険は始まる。
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by jokerish2 | 2005-10-30 01:14 | 本:その他

本 『ベンゲル・ノート』

本 NO.8  『ベンゲル・ノート』 中西 哲生 戸塚 啓 著

 アーセン・ベンゲル、彼は94年から95年の約1年半の間、名古屋グランパスで監督を務め、現在イングランドプレミアリーグのアーセナルの監督として活躍する世界有数の名監督の一人である。また、ベンゲル・ノートは彼がグランパスの監督だった当時選手であった中西哲生のベンゲルの練習内容、言動などのメモを本にまとめたものである。今回はこの本の中で最も印象に言葉を紹介したいと思う。

 “ Pass should be future, not past, not present. “

 この言葉はベンゲルのサッカーに対する前向きな姿勢が伝わってくる。直訳すれば「パスは過去でもなく、現在でもなく、未来に出すものだ」である。つまり、「パスは未来を切り開くものだから、常に前に意識を持って、そしてゴールを狙っていけ」ということなのだろう。他にも多くの名言を残しているベンゲル、重要なことをシンプルかつ的確にまとめあげる能力が名監督という彼の地位を不動のものにしているのかもしれない。
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by jokerish2 | 2005-10-21 09:34 | 本:その他

エッセイ 『孫正義氏の講演を聞いて』

エッセイ NO.16 『孫正義氏の講演を聞いて』

 「二十代で名乗りを上げ、三十代で軍資金を最低で一千億円貯め、四十代でひと勝負し、五十代で事業を完成させ、六十代で事業を後継者に引き継ぐ。」これはソフトバンクの孫正義が19歳の時に立てた人生50年計画である。彼もまた他の名立たる経営者たちと同様に鋭い分析力と行動力を持ち合わせた野心家であったようだ。アメリカでは1週間に1度飛び級するなどと言った数多くの伝説を持つ彼だが、今回はその伝説が生まれるための基礎となる彼の物事に対する姿勢、特に事業に対する姿勢に着目してみようと思う。

 まず、革新的な経営者たちに共通して言えることだが、彼も常により良い事業がないかを考え続けていると言う。彼の場合、「1日5分の発明」がそれである。1日5分の発明とは、構造的に伸びる、やる気を感じる、小さな資本でできる、競合が少ない、儲かる、社会性があるといった十数個の項目を考慮して考えられるビジネスモデルのことである。こうした日々の積み重ねから生まれたビジネスモデルは調査・分析を繰り返しブラッシュアップされる。彼は特にこの作業に時間をかけ、ソフトバンクでは5年分の完璧な事業計画を立案してあとはやるだけの状態を作るために1年半を費やした程である。とは言え、全てが彼の計画通りに進む筈も無く、数多くの壁にも直面している。しかし、それにも拘らず、彼は「No.1になる」という熱意でそれらを退け成功を手にしている。

 今回の講演を聞いて感じること、それは地道な積み重ねとこだわりがあることの強さである。つまり、普段華やかな成功だけが取り沙汰されているその裏では直向きな努力がなされそれが成功へ繋がっていること、また、こだわりを持つことで生まれるそれに対する情熱・熱意は論理以上に人を動かす力を持っていることである。この強さを持ち合わせる孫正義、彼が自信に満ち溢れた人物のように見えてしまうのは私だけだろうか。
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by jokerish2 | 2005-10-15 12:43 | エッセイ(課題)

本 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(下)』

本 NO.7  『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(下)』
村上 春樹 著

 「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」それぞれの関係が謎であった上巻とは対照的に、下巻では冒頭にその2つの世界の関係が暴露されることになる。と同時に、不可解であった今までの話に繋がりが見えてくる。2つの小説が同時並行で書かれている理由がはっきりとわかった瞬間だった。私はその関係が明かされる時の首尾一貫した論理性と私とは次元の異なる発想力に驚いてしまった。しかも、それが突拍子の無い現実離れした空想の世界ではなく、現実の世界でも考えられ得る人間の思考回路を比喩的に描き出しているのだ。きっと村上春樹の頭の中には人間の脳の縮図が存在し、その比喩表現が小説なのではないだろうかと感じた。

 私にとって村上春樹、そして小説の面白さを体感することができたという意味でこの作品の存在価値は大きい。今後私の推薦書の中の1冊に加えたいと思う。
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by jokerish2 | 2005-10-10 20:45 | 本:その他

本 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上)』

本 NO.6  『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上)』
村上 春樹 著

 私は村上春樹の小説が好きではなかった。そもそも小説そのものが好きではなかったし、中でも村上春樹の作品は小説を読み慣れない私にとっては数十ページで頭を混乱させてくる難敵であったため毛嫌いしていた。しかし最近、2人の先輩の愛読書に本書「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が挙げられていたので読んでみることにした。

 最初は「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」がなぜ同時並行で書かれているかの繋がりがわからず、やはり混乱してしまった。特に「世界の終わり」は不自然な規定によって統制された不思議な世界観が描かれているため、この世界が何のために描かれどのような展開になるのかが全くと言って良いほどわからなかった。しかし、次第にではあるが、「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」それぞれの話がわかってくるようになり、両者の繋がりがおぼろげながらわかりそうになってくるところで上巻が終わる。

 ここまで読んで思うことは1つ、なぜ今まで彼の作品を読まなかったのかと言う事である。以前、彼の作品を読んだ時にもう少し我慢して読み続けていたら、とそう思う。より面白くなるであろう下巻を早く読みたい。
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by jokerish2 | 2005-10-10 11:28 | 本:その他

エッセイ 『永守重信氏の講演を聞いて』 

エッセイ NO.15 『永守重信氏の講演を聞いて』

 「情熱、熱意、執念」「ハードワーキング」「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という3つの言葉は日本電産株式会社の永守重信の経営哲学を集約したものである。28歳で日本電産株式会社を設立し、創業から15年目に大阪2部に上場、25年目に東京と大阪の1部に上場を果たした名立たる経営者の一人である彼は「企業の発展には人材教育が全てである」と断言し、社員に既述の3つの精神を植え付けることが大切であると説く。話を聞き終えての感想は、正直なところ、「根性で何とかしよう」的な彼の発想はあまり好きではない。しかしながら、状況を打開する際の考え方には学ぶところが多く、好きでないからといって簡単に無視できるものではなかった。以下では、「人材教育が全て」という結論に至った彼の考え方をまとめていく。

 まず彼は企業の成長を5年毎にフェーズ分けして捉えている。初めに「食べるために働き、夢はあるが仕事がない段階」。次に「仕事はあるが金がない段階」。そして「仕事・金はあるが、人がいない段階」、「人・仕事・金のバランスが良くなる段階」と続いてゆく。このようにフェーズ分けして企業の成長を眺めてみると、人・金のどれをとっても中小企業が大企業に及ばないという現実にぶつかる。しかし、彼は諦めずに時間は誰にも平等にあることに着目した。そして、金の問題を克服。だが、またここで新たな壁に遭遇することになる。人材不足である。一流の人材は大企業へ流れてしまうのだ。
 この難題を解決するために、ここでも彼は人を3種類に分けて捉えている。発火剤のいらない自燃型、発火剤を必要とする他燃型、そして何をしても燃えない不燃型がそれである。彼は自燃型が大企業に流れ、他燃型ばかりが入社してくる現実を受け止め、会社を発展させるには社員を育成する外方法はないという結論に至る。
 以上から明らかな様に、彼は眼前にある問題に対してそれをそのまま受け入れようとせず、まずその現象の本質を簡単に捉え、既成概念によって見落とされている部分を見つけ出し、それに適した対処を施している。この考え方には見習うべきものが多い。

 全体として、暑苦しさ漂う彼の思想は好きにはなれないが、上記の思考プロセス――現象を時間や類型で分ける考え方――は今後参考にしていきたいと思った。
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by jokerish2 | 2005-10-09 20:15 | エッセイ(課題)

歴史 『宮本武蔵(八)』

歴史 No.18 『宮本武蔵(八) 円明の巻』 吉川 英治 著

 幕士への道が沙汰止みになった後、武蔵は再び修業の旅にでた。剣の旅ではない今回の修業の途中、岡崎で塾を開いていた所、武蔵は愚堂和尚に出会う。そして武蔵は和尚に問うた、「どうすればよいのか」と。答えをもらえるまで付き従おうと決心した武蔵は和尚に問い続け、あとを追うが和尚は答えなかった。しかしながら、ある時和尚は武蔵を円で囲った。その時武蔵は気付いた、瑣末なことに捉われすぎていたということに。そして、武蔵は再び前に進み始め、小次郎との戦いへと向かってゆく。

 上を目指し続ける武蔵、武蔵を意識しその上を目指す小次郎、武蔵とは別の方向で勝ろうとする又八や一途なお通、状況に流されやすい朱実など、登場人物の行動原理の違いは、時に共感し、時に理解が難しく読んでいて面白いかつ勉強になった。また、悩める武蔵が成長していく姿はたとえ遠回りをしても前に進む意識を持つことの大切さを物語っており、前への意識が道を切り開き得ることを切に感じた。

 全体としてとてもおもしろかった。いつかまた読み直したい作品である。
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by jokerish2 | 2005-10-07 20:11 | 本:歴史・ノンフィクション

歴史 『宮本武蔵(七)』

歴史 No.17 『宮本武蔵(七) 二天の巻』 吉川 英治 著

 法典ヶ原での修業の後、武蔵はついに江戸に入る。その頃、江戸には小幡一門と争う小次郎や武蔵を待ち構えるお杉婆、お通、又八がいた。舞台は京から江戸へと完全に移り変わったのである。当時江戸では各藩が優秀な人材を死に物狂いで探し求めており、武蔵や小次郎も当然の如く目を付けられていた。そして、武蔵野の草庵で暮らす武蔵とは対照的に小次郎は細川家に仕官する話が着々と進んでゆく。その後、小次郎にやや後れをとったものの武蔵にも幕府の仕官の話が舞い込んでくる。それまで出世に無関心であった武蔵だが、「剣の心を持って、政道はならぬものか、剣の悟りを以って、安民の策は立たぬものか」と考え幕士に対する野心を見せ始めるのだが、まもなく沙汰止みとなり「政治の道は武のみが本ではない。文武二道の大円明の境こそ、無欠の政治があり、世を活かす大道の剣の極致があった。もっと自身を、文武二天へ謙譲に仕えて研きをかけねばならぬ。――世を政治する前に、もっともっと、世から教えられて来ねば…」と再び修業に出ることを決心する。

 本書は武蔵>小次郎という図式で書かれているだけに読者は必然的に武蔵を応援したくなる。前巻で遠回りをすることは悪いことではないと書いたが、武蔵が足踏みをし小次郎が出世の道を早々と進んでいくとどうしても焦ってしまう。さすがに面白い展開になっていると感心してしまった。
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by jokerish2 | 2005-10-07 20:10 | 本:歴史・ノンフィクション

歴史 『宮本武蔵(六)』

歴史 No.16 『宮本武蔵(六) 風の巻』 吉川 英治 著

 武蔵は一乗寺下り松の戦いからなんとか命あるまま帰ることができた。と同時に武蔵の考え方は変化しつつあった。剣を極めて何がしたいのか、何ができるのかを武蔵は考え始める。折も折、武蔵が吉岡一門の大将であった源太郎少年を最初に討ったことと逃げ帰ったことに対して一門は中傷を繰り返した。結果、武蔵は京をはなれ江戸に向かうことになる。しかしながら、武蔵はその道中偶然出会った伊織と共に下総の法典ヶ原で未墾の荒野を相手に「治」の修業を始める。武蔵の考え方の変化が最初にでた瞬間だった。武蔵は剣を捨て自然と闘うことで治めるとは如何なるものなのかを学び取っていったのだった。

 私は風の巻の後半を読んでつよく感じたことがある。それは悩むことは大切であるということ。当然のことと思うかもしれないが、武蔵が思考を凝らし時には直感で行動することで遠回りかもしれないが一歩一歩着実に、そして真っ直ぐ進んだ時よりも深い考え方を携えて、宮本武蔵を形作っている。悩み、時には的外れかもしれないが、何かについて考えて出された結果の行動であればそれはいずれその何かに繋がってくるのではないかと思った。
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by jokerish2 | 2005-10-07 20:09 | 本:歴史・ノンフィクション