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歴史 『竜馬がゆく(四)』

歴史 No.22 『竜馬がゆく(四)』 司馬 遼太郎 著

 本巻で、竜馬はついに一隻の軍艦を手にする。勝の私塾として設立された神戸軍艦塾に幕府から一隻の軍艦が貸与されたのである。「志士たちで船体を操り、大いに交易をやり、時いたらば倒幕のために海軍にする」という竜馬の奇異な発想は着実に現実味を帯びつつあった。一方で、時勢は混乱を極め、長州は没落、武市の作り上げた土佐の勤王政権も容堂の手によって崩壊、勤王派勢力は後退を余儀なくされる。

 ここで、武市に注目したい。武市半平太、彼は生涯土佐藩という枠組みに固執した。土佐24万石を以って勤王化を成し遂げ、倒幕勢力たらしめようとしたのである。保守的な藩風を見限り脱藩した竜馬を余所に武市は土佐の勤王化に奔走し、結果、武市は土佐に勤王政権樹立に成功する。しかしながら、容堂によって政権は崩壊、そして容堂寵愛の後藤象二郎、乾退助によって殺されてしまう。武市半平太と坂本竜馬、両者の違いは時勢を読んでいたか否かによるものであろう。後に、後藤と乾は竜馬とともに倒幕側に付き、土佐藩も勤王化していったことが何よりの証拠である。竜馬を見ていると時勢に乗れる人物とは待つ勇気を持つ人物であるような気がしてならない。
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by jokerish2 | 2005-11-25 16:00 | 本:歴史・ノンフィクション

歴史 『竜馬がゆく(三)』

歴史 No.21 『竜馬がゆく(三)』 司馬 遼太郎 著

 第3巻で、竜馬は劇的な変貌を遂げる。そのきっかけとなったのが勝海舟との出会いである。竜馬は勝の影響を受け、勤王と佐幕という言わば極左と極右が対立していた時期に、そのどちらでもない独自の考えを持つことになる。その考えとは、海外との貿易によって国力を充実させるというもの。そのために倒幕は必要である、と。

 竜馬と勝は偶然にも出会うことができた。出会わなければ歴史は変わっていたはずである。故にこの出会いのために今の日本があると言える。もしあの時、勝に会いに行ったのが竜馬でなく他の勤王志士であったならば、おそらく勝は明治まで生きながらえることはできなかったであろうし、竜馬でなければ勝の考えを理解できなかったであろう。藩でもなく幕府でもなく日本を考えていた竜馬だからこその功績と言える。
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by jokerish2 | 2005-11-25 15:59 | 本:歴史・ノンフィクション

歴史 『竜馬がゆく(二)』

歴史 No.20 『竜馬がゆく(二)』 司馬 遼太郎 著

 第2巻では、黒船来航以来沸き立ち始めた勤王志士と幕府との勢力争いが描かれている。薩長に遅れをとらぬよう土佐の勤王化を目指す武市半平太。しかし、土佐は保守的であり、有無を言わさぬ階級制度が足枷となり、その勤王化は不可能に近かった。その土佐を見限った竜馬は風雲の中に自由を求め、脱藩することを決意する。

 前巻では、剣術家坂本竜馬の印象が強かったが、本巻では漸く歴史の教科書に登場する坂本竜馬の片鱗を示し始めた。とは言え、壮大な思想を持ち始めたわけでもなく、もちろん大仕事を成し遂げたわけでもない。しかし、彼は土佐と江戸とを行き来するうちに、土佐の他藩に比べ厳しすぎる階級制度に違和感を覚え始めたのだ。当時に身を置き換えて考えれば、この感覚を持つことがいかに困難であるかは想像に難くない。小さなことではあるが、このような感覚が今後の竜馬に繋がってくるのではないかと思えて仕方がない。

 余談だが、かなり前に読んだものを思い出しながら書くのはよくない。読んだ直後の感動が全く表現できない。今後は気をつけようと思う。
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by jokerish2 | 2005-11-25 13:18 | 本:歴史・ノンフィクション

歴史 『竜馬がゆく(一)』

歴史 No.19 『竜馬がゆく(一)』 司馬 遼太郎 著

 坂本竜馬を知らぬものはいない。そういっても過言ではないほど、坂本竜馬は現代日本において、特に幕末維新史上欠かすことのできない人物である。とは言え、わたくしは坂本竜馬が成し遂げた薩長連合や大政奉還などの歴史的功績を知るのみで、彼が一体どのような人となりをし、どのような考え方を持って幕末の動乱期を生きていたのかを全く知らない。先に読んだ同時代の偉人である福澤諭吉や徳川慶喜とは立場の異なった坂本竜馬がいかにしてこの大仕事を成し遂げたのか、今から非常に楽しみである。

 さて、第一巻を読み終えて思うことは、この巻だけではどうして彼が政治的な大仕事を成し遂げることができたのかわからない、の一点に尽きる。剣術家として大成する素質があることは、彼の千葉道場での活躍ぶりからも窺うことができる。しかし、その他は特徴ないとは言わないが、傑出しているとは捉えがたい。この坂本竜馬がどのようにして幕末維新史上の奇蹟と言われる人物に成っていったのか、心して読んでゆきたい。
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by jokerish2 | 2005-11-25 12:13 | 本:歴史・ノンフィクション

新聞 『こばのへりくつ ‐10月のBSE問題を茶化す‐ 』

 米産牛肉の輸入が再開されそうな今日この頃、10月の関連記事を眺めていると、強気な米国と弱気な日本が見えてきます。以下でasahi.comの記事を紹介して、それぞれにコメントしていこうと思います。

++ 記事1:米産牛肉の輸入再開 米政府・業界、歓迎の声明(10月5日)

 日本政府が早ければ年内にも米国産牛肉の輸入を再開する見通しとなったことについて、米政府と米業界団体は、歓迎すると同時に、早急に具体的手続きを進めるよう強く求めた。米国食肉協会(AMI)は期待感を示す一方、日米が輸入再開で基本合意してからすでに1年近く過ぎているため「実際に日本の食卓に載るまでは安心できない」と、今後の動きを注視する。

+コメント
 わたくしは「実際に日本の食卓に載ったら安心できない」、そんな気がします。

++ 記事2:官房長官が「歓迎」 米国産輸入牛肉再開(10月5日)

 細田官房長官は5日午前の記者会見で、米国産牛肉の輸入問題で食品安全委員会プリオン専門調査会が「(生後20カ月以下なら)食肉への汚染の可能性は非常に低い」としたことについて、「政府として歓迎している。できるだけ早期にこの問題は解決していきたい」と語った。再開時期については「あくまでプリオン調査会での科学的分析、決定を尊重していく。

+コメント
 恐いですものねBSE。いえいえ、もっと恐いのはアメリカ。肉の安全性より日米関係の方が問題ですよね、官房長官。

++ 記事3:対日制裁を米政府に要請 牛肉問題で上院議員ら(10月8日)

 米上院のロバーツ議員(共和党)は7日、日本の米国産牛肉の輸入再開が遅れていることに対して経済制裁を科すよう求める書簡を、20人の上院議員とともにポートマン米通商代表部(USTR)代表に送ったと発表した。書簡を送ったのはカンザスやコロラドなど畜産が盛んな州の選出議員ばかりで、「日本が不当な貿易障壁を維持するためにこの問題を使っているのは明らかだ」などとしている。

+コメント
 ロバーツ議員は地元で得票率極大化するためにこの問題を使っているのは明らかだ。

++ 記事4:英からの救援非常食「BSE心配」 米で1カ月以上放置(10月18日)

 米国南部に今年8月、大きな被害をもたらした大型ハリケーン「カトリーナ」の被災者救援のため、英政府が送った非常食33万食分が、たなざらしになっている。米国での流通が禁止されている英国産の牛肉が含まれていることが理由だ。米政府は、牛海綿状脳症(BSE)への心配から英国産の牛肉の流通を禁止しており、被災地でも例外を認めなかった形だ。

+コメント
 ロバート議員はこれをどのように見ているのでしょうか。もし「米国が不当な貿易障壁を維持するためにこの問題を使っているのは明らかだ」と言っていたら尊敬します。

++ 記事5:米国産牛肉輸入再開に「反対」67% 本社世論調査(10月25日)

 米国産牛肉の輸入が年内にも再開される可能性が高まるなか、輸入再開に反対の人が67%で、賛成は21%にとどまることが、朝日新聞社が22、23日に実施した全国世論調査で明らかになった。昨年10月の調査のほぼ同じ質問に対する「反対」(63%)を上回る。「国産牛と同等の安全性」を焦点に政府の食品安全委員会での審議が大詰めを迎えているが、消費者の不安はなお根強いといえそうだ。

+コメント
 たぶん、吉野家の前で調査をすれば賛成多数になると思われます。

++ 記事6:日本が牛肉輸入再開せねば報復関税 米上院で法案提出(10月27日)

 米上院の超党派の議員21人は26日、日本が今年末までに米国産牛肉の輸入を再開しなければ、日本製品に総額31.4億ドル(約3600億円)の報復関税を課すよう米政府に求める制裁法案を、議会に提出したと発表した。関税の額は、日本の輸入禁止で米国の肉牛業界が被った損害に相当するとしている。対象品目の選定は米財務省にゆだねる。

+コメント
 まさにペリー来航ならぬロバーツ来航です。

++ 記事7:米産牛の輸入解禁、広く意見募集 食品安全委(11月2日)

 『食品安全委員会は2日、米国・カナダ産の牛肉と、日本の牛肉の安全性について「科学的同等性の評価は困難」としながらも、輸入条件が守られれば、「リスクの差は非常に小さい」としたプリオン専門調査会の答申原案を了承した。29日まで、一般から意見を募集し、同委員会で政府への答申をまとめる。それを受けて政府は12月にも輸入再開に踏み切る見通しだ。』

+コメント
 食品安全委員会は一般からの意見で輸入反対多数だったら輸入再開は見送る答申をまとめ、政府は輸入再開を見送るのでしょうか。素晴しい世の中になったものです。

 弱気な日本と強気な米国、この構図はいつまでたっても変わらないのでしょうか。外交されている方々にはもう少し頑張ってほしいものです。
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by jokerish2 | 2005-11-03 13:41 | 新聞記事

エッセイ 『バブルの物語 -暴落の前に天才がいる- 』

エッセイ NO.17 『バブルの物語 -暴落の前に天才がいる- 』
ジョン・ケネス・ガルブレイス 著

 『バブルの物語』、本書はその名の通り過剰な投機と崩壊のエピソードを綴ったものである。著者のジョン・ケネス・ガルブレイスは、18世紀のフランスにおけるジョン・ロー事件やイギリスにおけるサウスシー・バブル、そして1929年の大恐慌など、陶酔的熱病的な投機がやがて急激に崩壊して悲惨な結末をもたらした過去の事例を紹介した後、投機から崩壊という現象に共通する要因を抽出することで、読者に対して投機とは如何なるものかを認識させ崩壊の犠牲にならぬよう警告を与えている。本書はこの事を読者に認識させるために過去に起こった「バブルの物語」を再三にわたり懇切丁寧に紹介している。

 まず、過剰な投機―バブル―は何故起こるのかについてガルブレイスは「自分および他人の知性は金の所有と密接に歩調を合わせて進んでいるという一般的な受け止め方を前提に、自分の洞察力が優れているという幻想を持った個人や機関が富の増大から得られる満足感の虜になり、結果として値をせり上げるという行動が生まれる」と分析している。確かに価格が上昇してゆけば自分が賢明な事をしていると錯覚してしまうのは無理もないと言える。その後、権威者の一言などが引金となり、暴落の時は突然訪れる。このとき、投機と崩壊に関わっていた人は自分が愚かであったとは思いたがらないため、外部的な要因を探そうと躍起になり、自らの投機が原因であるとは是が非でも認めようとはしないのである。ガルブレイスは、また、このようなエピソードは今後も繰り返されるであろうと予測している。歴史を知らず、一般的な楽観ムードに呼応し、自分が金融的洞察力を持っているという幻想に捉われている「過去の教訓」を生かせない人々がいる限りは。

 人が合理的に判断して行動することでバブルの崩壊という歴史は繰り返すようだ。周囲が楽をして儲けられる話で盛り上がっている傍ら懐疑的になる事など合理的に考えたら土台無理な話である。然らば、バブルは永遠に不滅であり、バブルを如何に楽しむかを考えた方が生産的である、と私はそう思う。
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by jokerish2 | 2005-11-02 01:45 | エッセイ(課題)