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新聞 『こばのへりくつ -夏休みの宿命-』

++ 前編 夏休み – have to & want to -

 皆様は夏休みを如何お過ごしになられたでしょうか。大学生の夏休みは長いもので2ヶ月程あるのは周知の通りでございます。そして、その時間の使い方は人それぞれ、勉強に精を出す人もいれば、旅に出る人もいる、はたまた何もせずにゴロゴロしている人もいると思います。「やりたいこと」を何でもできる、大学生にとって貴重な期間です。しかしながら一方で、期待膨らむ夏休みに漏れなく付いて来るのが様々な「やらねばならぬこと」であります。例えば、通年の授業を履修していればレポートがあるかもしれない、またゼミに入っていればその課題もあるでしょう。この厄介者たちを片付けてこそ心から夏休みを満喫できるというもの。言わば大学生の夏休みは「やらねばならぬこと」との戦いなのです。

 御多分に洩れず私も数多くの課題を抱えている身であります。ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学などゼミで出された課題は数知れず、さらには授業で課されたレポートと枚挙に遑がありません。そして、もちろん、旅や読書や蹴球などやりたいことも山ほどあります。約50日余りの夏休み、うまく遣り繰りして有意義な時間を過ごせるのか否か、私の手腕次第と言ったところでしょうか。


++ 後編 秋学期直前 –課題山積は大学生の宿命か-

 空は高く、また夕焼けが秋の様相を呈してきた9月中旬。私の目の前には課題が山積みであります。「やりたいこと」ばかり追求してきた結果なのか。「やらねばならぬこと」は二の次にして、計画を立てても計画表は見て見ぬふり、迫り来る期限に焦燥感を覚えつつもなかなか上がらぬ重い腰、皆様もそんな経験はないでしょうか。例年の如く私は今年も同じことを繰り返してしまったわけです。これから約一週間が思い遣られます。

 さて、ここでふと思うのです。なぜ私たちは毎年のように同じような状況に陥ってしまうのかと。何も考えずに過しているとでも言うのでしょうか。はて、そうは思えないのです。なぜ課題山積の状況に陥ってしまうのか、以下で考えてみることにします。
では、まず、それぞれをやりたいこととやらねばならぬことをやって得られる満足度を比較してみます。すると、おそらく①の様になると考えられます。

【やりたいことをやって得られる満足】≧【やらねばならぬことをやって得られる満足】―①

 ①から明らかなように、余程の変わり者でない限りやりたいことを優先してやらねばならぬことが後回しになると考えられます。と、書いてみたもののこれは本当でしょうか。このやらねばならぬ課題には期限があることを考えてみて下さい。すると、課題は期限内に必ずこなされることになるのでいつ何時やろうとも量は変わらず満足度は変わらないのではないでしょうか、つまり、①から直接「やりたいことを優先する」とは言えません。ではなぜやらねばならぬ課題は後回しにされるのか。ここで、前編にあった一文「この厄介者たちを片付けてこそ心から夏休みを満喫できる」を思い出して下さい。変な所に伏線は張られているもので、何気なく書いたこの一文、疑ってみる価値がありそうです。どういう事かと言うと、やらねばならぬことがある状態とない状態ではどちらがやりたいことをできるのかです。もし「やらねばならぬことがある状態の方がやりたいことができる」―② と言うことが証明されれば、課題山積の状態が説明できるはずです。

 では②とはどういう状態でしょうか。私はこう考えました。まず、夏休みの初めに課題を終わらしてしまうA君と夏休みの終わりまで課題を終わらせないB君の2通りを考えます。A君は課題も終わったのでこれからやりたいことに時間を費やそうとしています。しかしながら、暇そうなA君を見た家族や友達はA君に頼み事をしてきます。「時間あるならやってよ」と。ここでA君はやらねばならぬことがない故に断る理由もなく、頼まれ事をこなすことになります。一方B君はというとA君とは異なり、いくら頼まれても「やらねばならぬことがあるから無理だよ」と言い張り引き受けません。さて、A君とB君、どちらの方が夏休みを満喫できているでしょうか。やらねばならぬことの量は変わらないので、やりたいことをできる量の多い課題を後に残す方が夏休みを満喫できているのは一目瞭然です。従って、秋学期直前まで課題を残している大学生たちは実は無計画に過してきた結果ではなく、むしろ合理的に考えた結果として課題が山積しているのです。


++ おわりに

 そうはいっても、やはり夏休みの最後に課題を抱えているのは嫌なものです。これは所詮私の屁理屈(課題山積の言い訳)でしかなく、結局は計画的に生活した方が気持ちよく新学期を迎えられるのかも知れないですね。
by jokerish2 | 2005-09-14 00:21 | 新聞記事
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